静岡県を拠点に日本茶の販売とイベント出店を行う日本茶ブランド「Chabashira(チャバシラ)」が、去る2024年5月11日、12日に山梨県で開催された野外音楽フェスティバル「SWEET LOVE SHOWER SPRING 2024」に初出店しました。
今回、日本茶生活のライター・芦谷がフェスに同行し、「Chabashira」の初挑戦を追いました。
東京スカパラダイスオーケストラや奥田民生など、日本を代表するアートティスト23組が出演した「SWEET LOVE SHOWER SPRING 2024」 。会場の「山中湖交流プラザ きらら」は山中湖のほとりにあり、富士山が間近に望める特別なロケーションでした。
「Chabashira」は、地元のおいしいお店が並ぶ会場内のフードエリアに出店しました。
ドリンクメニューは、静岡県産の煎茶3種類のほか、日干し番茶や和烏龍茶など個性豊かなお茶を用意。お茶割りも提供しました。
さらに、山梨県富士吉田市のハーブの生産者「HERBSTAND(ハーブスタンド)」とコラボしたハーブとお茶を合わせた和のハーブティー「ほうじ茶と柑橘」や「緑茶と桜」なども販売。
前日に畑や山で摘んだばかりのフレッシュハーブをたっぷり使った「緑茶と森のモヒート」はお客さんに大人気。
煎茶をベースに、黒文字葉や葉山椒など3種類のハーブに甘夏みかんシロップをブレンドした、爽やかな一杯でした。
「フェスに来たお客さんに、煎茶だけでもこんなにいろいろな種類があるんだって知ってほしいですね。フェスではなかなかゆっくりメニューを選んでいただくのは難しいですが、どんなお茶にするか、メニューから選ぶ楽しみを味わってほしいです」と「Chabashira」の杉山将夫さん。
メニューだけでなく、フェスに合わせてドリンクの提供方法にもこだわった杉山さん。
「お店がどんなに忙しくてもお客さんにはお茶を丁寧に淹れて、絶対においしいお茶を飲んでもらいたい」とお茶は作り置きせず、オーダーを受けてから一杯ずつ急須で淹れました。
フェスには煎茶道歴も豊富な淹れ手の望月希美さんもサポートスタッフとして参加しました。
望月さんのお茶を淹れる美しい所作と、丁寧に淹れられたお茶の味に感動しているお客さんもいました。
お茶の容器には、昭和時代に駅の売店などで見かけた「ポリ茶瓶」を使用。
持ち運びに便利なので野外フェスにぴったりで、懐かしいデザインもお客さんに好評でした。
「Chabashira」は2016年に静岡県島田市出身の杉山さんが茶業に携わる友人とともにスタートした日本茶ブランドです。
お茶の販売だけでなく、イベントや地元のマルシェなどに積極的に出店。杉山さんはブランドの立ち上げ当初から「お茶がないところにこそチャンスがある」と考え、音楽や本のイベントなど、お茶以外のジャンルのイベントでもお茶をふるまっていたそうです。
そういったイベントでのお客さんとの出会いや会話は、商品開発にも活きていると杉山さんは話します。
「Chabashira」の看板商品であるカフェインを抑えた「デカフェ緑茶」やお茶割り専用の水出しティーバックはお客さんの声を反映して生まれた商品です。
そんな杉山さんは、10年ほど前までは音楽イベントを自ら開催していたこともあるほど音楽には思い入れが深く、今回のフェス出店にも並々ならぬ思いがありました。
「お茶を淹れているときに、ステージの音が聞こえてきて、とても気持ちよかったですね。自分はステージに立っているわけじゃないけど、演者の一人だと思って出店していました(笑)。 お茶って、いろんなところに自然と入り込めるんですよね。今回出店してみて、まだまだお茶には可能性があると思いました」杉山さん。
「普段は一人でイベントに出店する事が多いのですが、今回は友人やお茶淹れのプロを呼んで運営を一緒にやりました。いくらお茶を広めたいと思っても一人でやるのは限界があって、みんなでやらないと広まらないので。またみんなでフェスに出店し、お茶を広めていきたいと思います」と今後への想いを話してくれました。
「Chabashira」は、2024年8月30日(金)から9月1日(日)まで山中湖で開催される野外音楽フェス「SWEET LOVE SHOWER 2024」にも出店するとのこと。お茶の開拓者としての今後の活躍が楽しみです。
Chabashira ECサイト https://chabashira.theshop.jp/
取材・文・写真=芦谷日菜乃