愛知県を拠点に抹茶文化の普及活動を行う「茶々助」は2024年12月、紙製の茶筅「紙の茶筅」を発売しました。
抹茶を点てる際に使われる茶筅は竹製が主流ですが、紙製にすることで、「抹茶を楽しむシーンをより手軽に広げたい」という開発者の願いが込められています。

竹製茶筅を再現した構造
「紙の茶筅」は、特殊紙のエリプラペーパーを使用。エリプラペーパーは、紙製カトラリーや弁当箱にも使われる耐水性のある素材で、使用状況にもよりますが、乾かせば5回ほど使用できます。
組み立ても簡単で、2枚の紙を折り目に沿って折り、パーツを合体させるだけ。数分で完成する手軽さが魅力です。

「紙の茶筅」で、おいしく抹茶を点てるコツは、使用前に「穂先」と呼ばれる先端部分を15秒ほどお湯で湿らせること。これによりしなやかさが増し、滑らかな抹茶に仕上がります。

茶筅の外側の「外穂」と呼ばれる部分は泡立ちを作り、内側の「内穂」は茶碗の底に残った抹茶をかきだします。
竹製の茶筅と同様の構造を再現していて、本格的な抹茶を点てることができます。

抹茶文化を広げる挑戦
「紙の茶筅」を開発したのは、「茶々助」の今川宏二さん。国内有数の抹茶産地である愛知県の出身で、地元を代表する食材として抹茶に興味を持ったそうです。

茶農家のもとを訪れ、茶道を学ぶ中で、「手間暇をかけて作られた上質な抹茶の魅力を伝えたい」と考え、2016年に名古屋で抹茶専門店「茶々助」をオープン。愛知県や京都府産の抹茶を提供し、抹茶ドリンクやデザートが人気を博しました。
しかし、「抹茶をもっと家庭で楽しんでもらうには、茶筅の普及が不可欠」と考え、2022年にお店を休業し、紙製茶筅の開発に乗り出しました。
今川さんは、前例のない紙製の茶筅を完成させるため、竹製の茶筅を研究し、紙の素材を吟味して何度も試作を重ねました。
そして、茶筅としての美しさと抹茶をしっかり点てられる実用性を兼ね備えた茶筅が完成しました。

今川さんは「茶筅を通じて、抹茶文化を次の世代につなげたい」と語ります。
「お客さんをもてなすときに抹茶を点てることができれば、会話が弾み、心が通い合う。自分へのごほうびとして抹茶を楽しむことで、日常がより豊かになる。抹茶が広がることで、日本人が日本茶に誇りを持つきっかけになればと思います」と、その想い語ってくれました。

3月1日(土)に日本茶生活が東京・池袋で開催するイベント「TOKYO TEA HOUSE Vol.2」では、「紙の茶筅」を実際に体験できる抹茶ワークショップ&販売会を行います。
ぜひ会場で実物を手に取り、革新的な茶筅の魅力を体感してみてください。
「紙の茶筅」
価格/550円(税込)
販売サイト/茶道具専門店「東玉堂」オンラインショップ
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