全国の茶師が技術を競い合う全国大会「第72回全国茶審査競技大会」が9月に東京で開催。会場の様子をレポート

「第72回全国茶審査競技大会」が2025年9月6日、東京都江東区の「ホテルイースト21東京」で開催されました。全国茶審査競技大会は、茶商の技術向上と日本茶業界の発展を目的に、1956年に始まりました。
大会を主宰するのは、全国の50歳以下の若手茶師で構成されている「全国茶業連合青年団」です。
青年団は地区ごとに13の支部に分かれており、日本茶のPRイベントを開いたり、茶師の技術向上のための研修を行ったりしています。
大会には45歳以下の団員が出場でき、今年は全国の支部予選で好成績を残した120名の茶商や茶農家が出場しました。
日本茶生活では、そんな伝統ある競技大会を初取材。会場の様子をご紹介します。

茶師たちが技術を競い合う年に一度の大会

大会では、茶葉の品質や特徴を見極める「鑑定」の技能を競います。
これは様々な茶葉を仕入れ、「合組(ごうぐみ)」とよばれるブレンドを行って販売する茶商にとって、基本の技術です。

「審査」と呼ばれる四つの競技があり、各審査の合計得点が個人成績となります。
この得点に応じて、初段から十段までの段位が与えられます。
初段から六段までは成績によって飛び級も可能ですが、六段以上は80%以上の得点を獲得するたびに一段ずつ昇段となります。栄誉ある最高段位、茶師十段を目指し多くの人が挑んでいます。

さらに、各青年団の総合得点を競う団体戦も行われます。
この日のために訓練や体調管理を行ってきた選手たち。
その熱気と緊張のさなか、開会式が行われました。
全国茶業連合青年団団長の加藤伸之さんに対し、東京茶業青年団の君野玄一さんが選手宣誓を行いました。

そして、いよいよ競技の始まりです。

第一審査では、茶葉の品種を当てます。
今年は「やぶきた」、「さやまかおり」、「さえあかり」、「はるみどり」、「せいめい」「めいりょく」と「おくゆたか」の7種の茶葉が出題されました。
茶葉に熱湯を注ぎ、開いた茶葉や、浸出液の状態を観察します。

選手はその香りや色味、味わいなどで判断し、7種の品種から5種を答案用紙に記入します。

第二審査は、荒茶の収穫時期の判別です。
春に収穫される一番茶、そして二番茶、三番茶の違いを手触りや香り、「外観」と呼ばれる見た目によって判断します。
基本的に収穫時期が早い茶葉は艶や青みがあり、遅いと艶がなく大柄な茶葉となります。ただし、一番茶の中にも二番茶と混同しやすい大柄な茶葉もあり、難易度が高い審査です。

第三審査では、全国から選ばれた10種類の煎茶の産地を乾燥した茶葉の状態で判別します。
今年は狭山煎茶(埼玉)、本山煎茶・金谷煎茶(静岡)、揖斐煎茶(岐阜)、北勢煎茶(三重)、土山煎茶(滋賀)、宇治煎茶(京都)、大和煎茶(奈良)、新宮煎茶(愛媛)、宮崎煎茶(宮崎)が出題されました。
茶葉の産地特有の製法を見極める鋭い観察力が求められます。

1時間半以上の真剣勝負「茶香服」

第四審査では再び茶葉の産地を当てます。
「茶香服(ちゃかぶき)」と呼ばれる、鎌倉時代ごろから現代まで続く利き茶の競技です。
大会では5種類のお茶を抽出した状態で飲み、産地を推測します。

最初は出題されるお茶の特徴を捉えるため、乾燥した状態の茶葉を観察します。
その後「煎手(せんて)」と呼ばれる人が淹れたお茶を飲み比べて産地を当てます。

今年は、金谷煎茶、土山煎茶、大山煎茶、八女煎茶、鹿児島煎茶のお茶を飲み当てました。
それぞれに「花・鳥・風・月・客」の札が割り振られているので、浸出液を飲むたびに該当するお茶を予想します。

長時間にわたり、5種類の茶を4回戦分飲み比べる集中力も必要です。
煎手の力量、会場の水と普段の水との違いにも影響されるので、技術だけではなく運にも左右されると言われています。

約3時間にわたって続いた競技が終わると、ほっとした顔や悔しそうな表情を選手たちは浮かべていました。
競技の結果は以下に続きます。

静岡茶業青年団が2年ぶり優勝

団体戦では、静岡市内の茶商で構成される「静岡茶業青年団」が249点を獲得し、2年ぶりに優勝を果たしました。

2位は、静岡県内の茶商からなる「静岡県茶業青年団」。1位とは僅差の2点差でした。

3位は「宮崎県茶業青年団」となりました。
個人戦では、静岡県茶業青年団から出場した「株式会社丸堀製茶」の堀内健矢さんが40点中35点で優勝しました。
「業務で日々多くのお茶を審査しているので、その積み重ねが活かされたなと思います。チームでも今回健闘でき良かったです」と話しました。

堀内健矢さん

「老舗大佐和」(東京)の大澤一貴さんも堀内さんと同点を獲得し、2位となりました。
「大変光栄に思うと同時に、まだまだ精進すべき点があると実感しております。また、若い世代の方々の情熱にも大いに刺激を受けました」と大澤さん。今回東京チームに参加した初出場の若い世代のメンバーからも刺激を受けたといいます。「若い時のフレッシュな感性と情熱を活かして今後も活躍してほしいですね」と話しました。

大澤一貴さん

さらに瀬戸内茶業青年団から、「曲風園」(徳島)の曲大輝さんも35点を獲得し3位に。その結果、曲さんは茶師十段に見事昇段しました。
「実力だけでなく、大会では運も味方してくれたと思います。これからは一層団の仲間の応援にも目を向けながら精進していきます」と笑顔を見せました。

曲大輝さん

個人戦の四位から十位入賞者は34点で同点を獲得しました。
4位は後藤拓朗さん(市川園)、5位は石田宏之さん(石田茶店)、6位は堀恵輔さん(大石茶園)、7位は松浦泰隆さん(松浦製茶)、8位は本目哲也さん(本目浅吉商店)、9位は加島浩介さん(加島茶舗)、10位は前川大介さん(新生わたらい茶)です。
堀恵輔さんと本目哲也さんは今年茶師十段となりました。

大会の開催地は毎年変わり、東京都での開催は7年ぶりでした。
今回は約40名の日本茶インストラクターが進行をサポートしました。
競技を見た日本茶インストラクターからは「一緒にすら見える茶葉を見分けるなんてすごい。自分も茶葉の鑑定に興味が湧いた」という声もありました。


未来を担う茶商の活躍に、今後も注目してみてください。
なお、全国茶審査競技大会は静岡で開催される予定です。

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