ほうじ茶で描く世界への挑戦「穂と香 HOJICHA FACTORY」鈴木雄大さん

2025年5月、ほうじ茶の魅力を心ゆくまで味わえるカフェ「穂と香 HOJICHA FACTORY(ほとか ホウジチャファクトリー)」が、東京・押上の隅田公園に誕生しました。

ドリンクの監修を務めるのは、20代前半でほうじ茶の店を立ち上げ、その魅力を発信し続けている鈴木雄大さんです。今回はほうじ茶にかける鈴木さんの情熱と、新店舗の魅力をご紹介します。

若きバリスタが選んだ、ほうじ茶カフェ経営の道

「もともとは、コーヒーやお茶を通じて生まれる“空間”をつくりたかったんです」と鈴木さんは語ります。大学生時代から大手コーヒーチェーンや専門店でアルバイトを経験し、バリスタの学生団体を設立したり、間借りでコーヒー屋を開いたりと、精力的に活動していました。
一方、大学では経営学を学び、日本企業の海外展開について研究する中で、日本茶への興味が湧いたそうです。数ある日本茶の中で、なぜほうじ茶に惹かれたのでしょうか。

「自分は“焼いたもの”が好きなんです。焙煎という工程のあるコーヒーやほうじ茶、そして焼き菓子など。焼いている間に少しずつ変化していく色や香りを、五感で感じられる時間が好きですね」

そう語る鈴木さんは、大学卒業と同時にほうじ茶と焼き菓子のカフェ「ほうじ茶STAND鎌倉」を立ち上げました。

ほうじ茶STAND鎌倉(2023年)

当時はコロナ禍でしたが、着実にファンを増やし続け、その後下北沢にも「ほうじ茶と焼き菓子」をオープン。自家焙煎のほうじ茶や自家製のほうじ茶カヌレなどを提供してきました。

広がる海外の舞台と、ほうじ茶の可能性

自身の店を経営する傍ら、海外にほうじ茶を販売する事業も行っている鈴木さん。それがきっかけとなり、海外でお茶を淹れる機会もあったそうです。

「一度目はハワイのカフェでの出店でした。『ほうじ茶ラテ』はすでに現地でも知られていて、店内が満員になるほど歓迎していただけました。その後、香港のイベントにも出店したのですが、紅茶文化が根付く香港ではほうじ茶の知名度はまだ低く、その地域による違いがとても興味深かったです。これからも色々な国の方と対話し、生まれ育った日本の魅力をさらに伝えていきたい。そのうえで、『ほうじ茶といえば雄大』と、皆さんに思い出してもらえるような存在になりたいです」

こうした経験を経て、鈴木さんはほうじ茶にどのような可能性を感じているのでしょうか。

「ほうじ茶は、日本茶を世界に広めるための入り口になると思っています。コーヒーの世界では、まず焙煎度の強い深煎りが普及し、その後にフルーティーな浅煎りが広がりました。香ばしさが際立つほうじ茶はミルクとの相性も良く、多くの人に受け入れられやすいはずです。まずはほうじ茶をきっかけに日本茶に親しんでもらい、そこから煎茶の繊細な香りや味わいの魅力も伝われば、と考えています」

押上での新たなスタート「穂と香」

そんな鈴木さんが、今年押上にオープンした「穂と香 HOJICHA FACTORY」のドリンクを監修しています。海外からの観光客も多い浅草周辺は、鈴木さんにとって長年挑戦したかった場所だったそうです。

「穂と香 HOJICHA FACTORY」は隅田公園の中にあります。
この地は江戸時代に水戸徳川家の屋敷があったという歴史を持ち、2025年の日本庭園リニューアルオープンも相まって、今注目を集めるスポットです。園内の小高い丘に佇むお店からは、公園の豊かな緑を望むことができます。

和の趣を取り入れた店内は、格子天井や杉の一枚板カウンターがあしらわれ、木の温もりに満ちた空間が広がっています。

こだわりのほうじ茶メニュー

「穂と香 HOJICHA FACTORY」おすすめのメニューをご紹介します。
まずは「ほうじ茶ラテ」。福岡県「楠森堂」が手がける在来茶のほうじ茶パウダーを使い、一杯ずつ丁寧に点ててミルクと合わせます。
在来茶とは、品種改良される前の原種に近い茶樹から作られるお茶のことで、日本での栽培量はわずか1%ほどという希少なものです。
ミルクは、牛乳・オーツミルク・米麹ミルクの3種類から選べます。甘みは砂糖を使わず、ミルク本来の甘みで調整するのがこだわり。
特におすすめなのが、甘酒のような自然な甘みが特徴の米麹ミルクで、米粉を使ったお菓子との相性も抜群です。

「ほうじ茶」は、福岡の「楠森堂」、京都の「利招園茶舗」、静岡の「丸新柴本製茶」という3つのお茶屋から茶葉を選べます。風味の違いを堪能できるよう、焙煎度合いも浅煎りから深煎りまで様々です。

注文ごとに、コーヒー抽出に使うスイッチ式のドリッパーで淹れるのも特徴です。

「ご家庭にお茶を淹れる専用の道具がない方にも、コーヒー器具で手軽においしく淹れられることを知ってほしいです」と鈴木さんは話します。

季節限定ドリンクやスイーツも充実

また、ほうじ茶にフルーツやソーダを合わせた季節限定メニューのほか、煎茶や抹茶ラテ、スペシャルティコーヒーも楽しめます。
さらに、串団子や米粉のバナナパウンドケーキ、米粉ほうじ茶フィナンシェといった焼き菓子も豊富に揃っています。

中でも、お店の鉄板で一つひとつ焼き上げる「米粉うし焼き」は、外はカリッと、中はもちもちの米粉生地に、特製のほうじ茶餡がたっぷりと詰まっています。

可愛らしいお菓子のモチーフは、隅田公園内の「牛嶋神社」にある撫で牛の像です。
撫でると病が癒えるというご神牛の、愛らしい表情が目を惹きます。

また、店内では自宅でほうじ茶ラテを楽しめるよう、ほうじ茶パウダーやオーツミルク、米麹ミルクなども販売されています。

「お茶やメニューについて分からないことがあれば、気軽に声をかけてください。スタッフ一同、皆様がゆったりと過ごせるようお待ちしています」と鈴木さん。

今後は、お茶をより身近に感じてもらうためのワークショップ開催も構想しているそうで、その活動からますます目が離せません。

店舗概要
住所/東京都墨田区向島1-3-14
アクセス/都営浅草線本所吾妻橋駅から徒歩7分、東武伊勢崎線とうきょうスカイツリー駅から徒歩8分
電話/080-3700-8777
営業時間/11:00~17:00
定休日/月・火
ショップInstagram/https://www.instagram.com/hotoka.hojicha.factory/
鈴木雄大さんInstagram yudai.hojicha

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