全国に拡大中!“そのぎ茶ファン”を育む「そのぎ茶アンバサダー」とは?【長崎そのぎ茶ものがたりVol.8】

海と山に囲まれた長崎・東彼杵町(ひがしそのぎちょう)。この町で生まれる”そのぎ茶”をテーマにお届けしてきた連載『長崎 そのぎ茶ものがたり』は、今回が最終回です。
これまでの7回では、そのぎ茶のおいしさの秘密、産地の歴史、つくり手の情熱や未来への挑戦を追いながら、その奥深さをお伝えしてきました。

今回フォーカスするのは、そんなそのぎ茶を愛する飲み手でありながら、ときに作り手のこだわりや”そのぎ茶”のおいしさを発信する伝え手として活動する「そのぎ茶アンバサダー」たち。
様々な「そのぎ茶アンバサダー」の声を通して、人々をひきつけるそのぎ茶の魅力を、あらためてひも解きます。記事の最後には、あなた自身もそのぎ茶の世界に触れられる、東京での特別なイベントをご紹介します。

そのぎ茶好きの輪「そのぎ茶アンバサダー」とは?

東彼杵町には、そのぎ茶を愛する全国の「飲み手」が参加する「そのぎ茶アンバサダー」という制度があります。
運営するのは、つくり手や町役場、関係機関から成る「そのぎ茶振興協議会」。2023年のスタートから現在までに約170人が登録し、「そのぎ茶アンバサダー」の輪は全国へと拡大しています。
参加の条件はただひとつ。そのぎ茶が好き、という気持ちだけです。
自分や家族のためにお茶を淹れる、大切な人に贈る、SNSで感想を発信する、講座や茶摘みイベントに参加するなど、それぞれが暮らしの中でそのぎ茶を楽しみながら、自然にできることを思い思いに続けていくのが「そのぎ茶アンバサダー」の活動です。
では実際にこの活動に参加している人たちは、どのようにそのぎ茶と関わっているのでしょうか。
長崎、福岡、東京で活動するアンバサダーをご紹介します。

東彼杵町で講座を行う「そのぎ茶アンバサダー」

日々のお茶時間を大切にしながらイベントで活躍する「長崎在住アンバサダー」

長崎市在住の高倉雅子(たかくらまさこ)さんは、この日、同市中心部アーケードで開催された「秋のそのぎ茶まつり」で、お茶淹れや講座のサポートをされていました。

ー 「そのぎ茶アンバサダー」になったきっかけは?

高倉さん「茶道を長年続けてきましたが、一度離れたときに、『日々の暮らしの中でのお茶の時間がいかに大切か』ということを改めて実感しました。日常のお茶とじっくり向き合いたいと思った時に、このアンバサダー制度を知ったんです」

イベントでお茶を淹れる高倉雅子さん

高倉さん「県内の産地なので、そのぎ茶の存在は知っていましたが、『そのぎ茶アンバサダー初級講座』を受けて、淹れ方や楽しみ方、その味わいの違いをじっくり感じてその奥深さに驚きました」

そのぎ茶アンバサダー初級講座の様子

ー 「そのぎ茶アンバサダー」の活動の魅力は何でしょう?

高倉さん「日頃は自分で味わったり、お客さんに出したりという関わり方が中心です。そのぎ茶を丁寧に淹れて、そのおいしさでホッとくつろぐ時間を、一人でも多くの方に届けられたらという思いで、楽しく活動させてもらっています。茶道とはまた違った形で、お茶を通して人とつながる喜びに気づくことができました。お茶好きのお友だちが増えたのも、うれしい収穫ですね」

高倉さんが淹れる一杯は、暮らしに寄り添うそのぎ茶の魅力を静かに伝え、人とのゆるやかなつながりを生んでいます。

講座や販売実習を通して、お茶への愛や縁を育む「福岡在住アンバサダー」

2025年秋、福岡市内の商業施設で開催された「そのぎ茶アンバサダー初級講座」には、福岡県内だけでなく、佐賀や熊本からも参加者が集まりました。
この講座は、初心者からお茶のプロまで誰でも参加でき、そのぎ茶についての知識を深め、お茶の淹れ方を学びながら実際に味わうことができます。
講座に参加した方に感想を聞きました。

そのぎ茶アンバサダー初級講座の参加者

「そのぎ茶は水出しで味わうと、まるで出汁の効いたスープみたいに旨みがすごいんですね。香りでリラックスできますし、見た目にも色鮮やかで、しばらく“そのぎ茶”の世界にハマりそうです」(60代男性)

「お茶が好きで、国内外のお茶を飲んでいます。今日はそのぎ茶をいろんな角度から知って味わえて、とても充実した時間でした。周囲にもどんどんそのぎ茶を薦めたいです」(40代女性)

「そのぎ茶アンバサダー初級講座」は、様々な世代の知的好奇心をくすぐる、豊かな時間になったようです。
終了後、受講者には修了証が贈られました。

修了証を受け取ったそのぎ茶アンバサダー

福岡で開催されたこの「そのぎ茶アンバサダー初級講座」では、九州産業大学 商学部の学生たちが新たに「そのぎ茶アンバサダー」に加わりました。
学生たちはアンバサダーになった後、福岡市内で1カ月間、そのぎ茶の販売実習にも挑戦しました。

販売実習を行う九州産業大学の学生

「私自身、自宅でそのぎ茶を飲むようになりました。毎回急須で入れるのは難しいけれど、粉末茶や抹茶パウダーなど、手軽に飲める商品でもすごくおいしいんです。お茶=ペットボトルという認識でしたが、東彼杵でそのぎ茶を飲んでから、お茶のおいしさに目覚めて、お茶を飲む習慣ができた友だちも多いです」と学生の一人が話してくれました。
この実習を通して東彼杵町に惚れ込み、卒業後は東彼杵町で農業に挑戦したい!という方もいたようです。

商店街でのイベント開催で魅力を発信する「東京在住アンバサダー」

東京に住む日本茶インストラクターの佐藤亜佐子(さとうあさこ)さん。5年ほど前から、SNSで全国各地の日本茶の魅力を発信しています。
2025年9月には「そのぎ茶アンバサダー」として、東京・谷中銀座商店街にある九州食材のセレクトショップ「九州堂」でそのぎ茶の試飲イベントを企画・実施しました。

佐藤亜佐子さん

ー 試飲イベントでのお客さんの反応はいかがでしたか?

佐藤さん「普段からお茶そのものを飲まない、ティーバッグしか知らないという方々も多かったんです。でもそのぎ茶を試飲してもらうと、その色の美しさに驚いたり、飲んだらおいしいと目を輝かせたり。そのぎ茶のおいしさを東京の人たちに体験してもらえたのが、とてもうれしかったですね」

ー そのぎ茶を知ったきっかけは何でしたか?

佐藤さん「日本茶インストラクターの教科書で『玉緑茶』の存在を知りましたが、飲んでみたくても当時はなかなか手に入りませんでした。そんなとき、東京でのイベントに東彼杵町のつくり手の方が来られて、憧れのそのぎ茶を飲むことができました。想像をはるかに超えるおいしさで、一気にファンになりました」

ー 全国にいろいろなお茶があるなかで、そのぎ茶の魅力はどこにあると思いますか?

佐藤さん「そのぎ茶は渋みが少なくて、甘みがしっかり。抽出温度や時間を厳密に気にしなくても、誰でもおいしくいれられる懐の深さがあって、お茶の入り口として最適だと思います」

そのぎ茶は通りすがりの人にも大好評だったとのこと

佐藤さん「今、お茶を飲まない理由として『渋い』『淹れ方が難しい』という声をよく聞きますが、そのぎ茶はその課題をすべてクリアしています。マグカップと茶こしがあれば、ズボラに淹れてもおいしい。どんな人のライフスタイルにも寄り添ってくれる。そんなそのぎ茶こそが、緑茶離れを解決するカギになるのではないでしょうか」

そんな佐藤さんの熱い想いと活動は、東京で新たなそのぎ茶好きを生み出しています。

合言葉は「つぶやけばアンバサダー」。豊かに広がる、そのぎ茶の輪

長崎、福岡、東京。活動拠点は違えど、「そのぎ茶アンバサダー」は、全国各地でそのぎ茶を通して自らの暮らしを豊かにしながら、その喜びを自然と周囲に伝えています。
高倉さんの丁寧な所作、学生たちの発見の喜び、佐藤さんの情熱的な活動。それぞれの方法で、そのぎ茶の輪は静かに、そして確かな広がりを見せています。

各地に広がるそのぎ茶の輪

「そのぎ茶を飲んでみたい」「ちょっと気になる」 と思った方は、もう立派な「そのぎ茶アンバサダー」。
合言葉は「つぶやけばアンバサダー」です。
家族や友人に話すことも、SNSでつぶやくことも、“そのぎ茶”の魅力をつないでいく大切な一歩になります。 
興味がある方は、記事末の公式サイトをご覧ください。
そのぎ茶に触れる機会がぐっと増え、お茶のある暮らしが、さらに豊かに深まっていくはずです。

そして、2026年1月24日(土)、25日(日)には東京であなた自身がそのぎ茶と出会う、特別な機会が訪れます。 
その名も『長崎 そのぎ茶コレクション2026』。これまでの連載で登場した“そのぎ茶”のつくり手たちや「そのぎ茶アンバサダー」のメンバーが、東京駅前の商業施設「KITTE」に集結!

つくり手自ら淹れるそのぎ茶のおいしさに触れ、直接ことばを交わしながら、お茶の購入や試飲が楽しめます。さに「そのぎ茶アンバサダー」によるセミナー、つくり手たちによるトークセッションなどのプログラムを用意。会場には「そのぎ茶アンバサダー」ブースも登場します。
今度はあなた自身がそのぎ茶の魅力を体験し、「そのぎ茶ものがたり」の新しい1ページをつむぐ番かもしれません。
ぜひお気軽にご参加ください!

取材・文=中村志乃芙、編集=市原侑依

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そのぎ茶アンバサダー公式サイト
https://sonogi.jp/ambassador

長崎 そのぎ茶コレクション2026 in 東京 概要
開催日時:2026年1月24日(土)・25日(日)10:00-18:00 
会場:KITTE丸の内(B1F 東京シティアイパフォーマンスゾーン)東京都千代田区丸の内2-7-2 KITTE地下1階
参加費:無料(セミナーは有料)
イベントページ:https://nihonchaseikatsu.com/sonogichacollection2026

その他のおすすめ記事

  1. そのぎ茶のストーリーを伝え、”想像を超える”お茶づくりを目指す〈岡田商会×西坂秀徳製茶〉【長崎 そのぎ茶ものがたりVol.6】

  2. 【イベントリポート】2023年5月28日に「東京お茶めぐり2023」が日本橋で開催

  3. 【2024年最新】福岡市内のおすすめ日本茶カフェ&日本茶専門店8選

  4. ”日本一に輝いたお茶のまち” 長崎・東彼杵町で見つけたオススメのカフェ&ショップ4選【長崎 そのぎ茶ものがたりVol.2】

  5. 【イベントリポート】「日本茶コレクション2023 〜日本茶のすべて〜」が2023年12月2日、3日に初開催

  6. 【2024年最新】素敵な急須やティーポットが見つかる東京のお店23選

Translate »