約190年の歴史を持つ神戸を代表する老舗日本茶専門店「放香堂(ほうこうどう)」。
JR元町駅から徒歩で約8分、神戸市の観光名所である中華街・南京町からほど近い元町商店街にお店を構えています。
神戸で愛され続ける日本茶専門店
「放香堂」の創業は江戸時代後期の1830~1843年の間だと言われています。
当時は茶商として宇治茶の主産地である京都・和束町に茶園を持ち、全国にお茶の卸売をしていました。
明治時代にはお茶の輸出を行うため、神戸港からほど近い現在の場所に小売店を開店。
以降、神戸に拠点を構え、和束町の自社農園で作られた宇治茶の販売をメインで行なっています。
明治時代の開業当時の趣を残した風情ある店内。
1995年の阪神淡路大震災で被害を受けた際に一部改修を行ったもののほぼ当時のままだと言います。
“茶師十段”による宇治茶
「放香堂」では、茶葉の選定やブレンドを行う茶師は初代の茶師「源兵衛」の名を代々襲名してきました。
現在は6代目源兵衛の酢田恭行さんが茶師を務めています。
酢田さんは、お茶の審査・鑑別力を競う「全国茶審査技術競技大会」で全国でも十数名しか認定されていない最高位”十段”を得ている実力者。
その熟練の技術で作られた煎茶をはじめとする様々な種類のお茶を販売しています。
「放香堂」のおすすめ商品は「源兵衛」シリーズ。
煎茶を中心に好みに合わせて選べる10種類以上のお茶が揃います。
その中の一押しは煎茶「千寿吉祥(せんじゅきっしょう)」。
深蒸し煎茶で焙煎による香ばしさとコクが特徴です。
さらに注目は初代源兵衛が作り上げた味を再現した「伝承」シリーズ。
こちらの煎茶には最高級の宇治茶を使用し、すっきりした飲み口ながらも、奥行きがある味わいが魅力。
高級感のあるパッケージで贈答用としても人気の商品です。
「和食以外の食事や洋菓子にも合うお茶を」と酢田さんが独自にブレンドした紅茶も見逃せません。
国産紅茶の商品「ときわすれ」は、果実のような香りと甘さがあり洋菓子によく合います。
そのほか、宇治抹茶、ほうじ茶、玄米茶も販売。
水出し茶やティーバッグの商品など、自宅で手軽に楽しめるお茶も豊富に揃えています。
「放香堂」ではオリジナルの茶器も販売しています。
おすすめは愛知県・常滑の急須作家である都築豊(つづきゆたか)さんが作る急須。
1人用の小ぶりサイズで、じっくり煎茶の味を楽しみたいときにおすすめです。
日本最古のコーヒー店
「放香堂」の隣にある「放香堂加琲店(ほうこうどうこーひーてん)」も見どころ。
1878年に創業した日本最古と言われるコーヒー店です。
「放香堂」はコーヒーが日本でほとんど知られていなかった戦前にコーヒー豆の輸入も行っていました。
当時の味が楽しめる「“明治復刻コーヒー”麟太郎」は、抹茶を挽くために使われていた石臼でコーヒー豆をひいています。
そのコーヒーを使った「麟太郎かき氷」は夏季限定で楽しめる一品です。
長年に渡り伝統の味を守りながらも新しいお茶を提案し続ける「放香堂」。
ぜひ神戸を訪れた際には足を運んでみてください。
取材・執筆=芦谷日菜乃
店舗情報
店名 | 放香堂(ほうこうどう) |
電話 | 078-331-3117 |
住所 | 兵庫県神戸市中央区元町通3-10-6 |
アクセス | JR元町駅から徒歩8分 |
営業時間 | 10:00~19:00 |
定休日 | 水曜 |
HP | https://www.hokodo.co.jp |