京急蒲田駅から徒歩で5分ほどの住宅地にある「蒲南茶荘(ほなんちゃそう)」。
深蒸し煎茶に特化した日本茶専門店です。
1927年に創業した当時は日本茶の卸問屋だった同店。現在は小売販売を中心に行い、3代目社長の鈴木秀博さんと4代目の鈴木和貴さんが店頭に立っています。
注目の”超”深蒸し煎茶
「蒲南茶荘」では、深蒸し煎茶にこだわり、個性的な深蒸し煎茶の商品を販売しています。
深蒸し煎茶とは、”茶葉を蒸す”という製造工程が通常の煎茶よりも長いお茶のこと。
一般的な煎茶の蒸し時間は30秒から40秒であるのに対し、深蒸し煎茶は60秒から120秒ほど。
その蒸し時間の違いが煎茶の味わいに変化をもたらします。
特筆すべき深蒸し煎茶の味わいは、まろやかさと甘み。お茶を淹れたときの濃い緑色も特徴です。
「蒲南茶荘」では、静岡県の牧之原台地で昭和30年代に誕生したと言われる深蒸し煎茶に早い時期から注目。
先代の社長がより深みのある煎茶の甘みを求め、従来の深蒸し煎茶よりもさらに長く、180秒ほど茶葉を蒸した”超”深蒸し煎茶を考案。
以来、豊かな甘みが楽しめる、”超”深蒸し煎茶の販売に力を入れてきました。
”超”深蒸しのお茶は、煎茶だけではなく、ほうじ茶や茎茶も展開しています。
おすすめのお茶を紹介
4代目の和貴さんにおすすめのお茶を教えていただきましょう。
ひとつめは”超”深蒸し煎茶の「紫宝」です。
「紫宝は火入れと呼ばれる焙煎加工による香ばしさとふくよかな甘みが魅力です。特徴の異なるお茶を複数ブレンドすることで、より深みのある蒲南茶荘ならでの味に仕上げています」と和貴さん。
もうひとつのおすすめは「社長の気マグレ茶」。
看板商品の深蒸し煎茶のほか、渋みが少なく甘みの強い煎茶、抹茶、ほうじ茶などがブレンドされています。
「煎茶は熱湯で淹れると渋みが出やすいのですが、このお茶は熱湯で淹れても渋みが出にくく、甘味をしっかりと楽しんでいただけます。紫宝のように複数の茶葉をブレンドする場合は、目指す味が決まっていて毎年味が変わらないように調節します。一方、社長の気マグレ茶はブレンドするたびに微妙に味が変化することもよしとしている、珍しいお茶です。社長の気まぐれでブレンドに使う茶葉が変わり、毎回仕上がりの味も違うことから、”気まぐれ茶”と呼んでいます」と和貴さん。
魅力的な急須売り場
「蒲南茶荘」は店内スペースの半分を急須売り場が占めるほど急須の品揃えが充実。
実用性の高い急須から作家ものの急須、貴重な一点もの急須まで、常滑焼と萬古焼を中心に様々なタイプの急須を販売しています。
中でもお店の一押しは「帯アミ急須」。金網の茶こしが急須の側面を一周するように付いている急須です。
茶漉しの網目が細かいため、深蒸し煎茶のように細かい形状の茶葉でも目詰まりしにいくのが特徴です。
そのほか、左利き用の急須や、急須の蓋置など、お茶淹れに便利な道具も取り揃えています。
お茶の違いを知る拝見体験
お茶には様々な種類があり、それぞれの違いがよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
「蒲南茶荘」では産地や品種、製法の違う茶葉を比較して、茶種の特徴を知る「拝見体験」が楽しめます。
この体験では、乾燥した状態の茶葉の形状と手触りを観察し、茶葉に直接熱湯を注いで茶葉の色、香り、味の違いを比較。こちらはお茶屋さんが茶葉をブレンドする際に実際に行なっている方法です。
「拝見体験」は事前予約制で電話・メール・店頭で予約可能。
初心者にもわかりやすく教えくれるので、興味のある方はぜひ参加してみてください。
取材・執筆=芦谷日菜乃
店舗情報
店名 | 蒲南茶荘(ほなんちゃそう) |
電話 | 03-3731-5555 |
住所 | 東京都大田区東蒲田2-25-13 |
アクセス | 京急蒲田駅から徒歩5分 |
営業時間 | 平日 9:00~19:00 土曜 10:00~18:00 |
定休日 | 日、祝日、第3土曜 (4・5・12月の祝日は営業) |
HP | http://www.honannchasou.net/ |