活気ある商店街や大型商業施設があり、多くの人々で賑わうJR中央線沿いの街、荻窪。
「東京繁田園茶舗(とうきょうはんだえんちゃほ)荻窪店」は、そんな荻窪で長年愛されている日本茶専門店です。
江戸時代から紡がれる繁田園の歴史
「東京繁田園茶舗」の前身となる「繁田園」の歴史は古く、 江戸時代の1815年に繁田家の十代当主・繁田武兵衛満該が埼玉・狭山に茶園を開いたことに始まります。
1875年には十二代当主・繁田武平満義が、日本で初めて中間業者を通さず、海外に日本茶を直輸出した「狭山会社」を設立。
以後、アメリカへの日本茶輸出に挑み、1893年のシカゴ万博、1900年のパリ万博に出展するなど、精力的に海外販路開拓に取り組みました。
現在の「東京繁田園茶舗」が創業したのは1945年。東京・阿佐ヶ谷に本店がオープンした後、1947年に荻窪店が開業し、昭和と平成の時代を経て、現在に至ります。
国内外で評価されるお茶の数々
「東京繁田園茶舗」では鹿児島、福岡、静岡、埼玉など全国屈指の茶産地からお茶を仕入れています。
店頭では合組(ブレンド)煎茶や品評会入賞茶など約50種類のお茶を展開。
単一品種のお茶やフレーバーティー、和紅茶、ティ―バッグタイプなど、時代のニーズを捉えた幅広いお茶のラインナップも魅力です。
パッケージにもこだわり、お茶を淹れるポイントである茶葉の量・浸出時間・水量・温度がわかりやすく記載されているので、初めて購入する方も安心です。
同店のおすすめの商品は、普通蒸し煎茶「千代の香」。
鹿児島の西製茶工場で作られた有機栽培の茶葉をベースに、静岡県の山間地域で育った香り高い茶葉をブレンド。爽やかな香りとすっきりした後味のバランスが魅力の同店で一番人気の煎茶です。
イギリスの国際食品コンテスト「Great Taste Awards 2022」では、その味わいが評価され、二つ星金賞を受賞しました。
多くの人々に愛されるほうじ茶とソフトクリーム
焙煎度が3段階から選べる「ほうじ茶」も人気商品のひとつ。
毎週日曜日には店頭で丁寧な火入れを行っています。
取材日には「東京繁田園茶舗」に勤めて70年を超えるベテラン店長の兼田護さんが焙煎をしていました。
「茶葉の収穫時期に合わせて、火入れの強さを調節しているんです。何十年もやっているので茶葉を見れば、どのくらいの火加減がいいかわかるんですよ」と兼田さん。
兼田さんは入社から70年変わらず、ほうじ茶を焙煎し続けてきたのだそう。
ほうじ茶を知り尽くした兼田さんが焙煎した、でき立てのほうじ茶をぜひ味わってみてください。
そして、宇治抹茶とほうじ茶の「ソフトクリーム」にもご注目を。
このソフトクリームは、2022年に上智大学の学生と共同で、来店のきっかけづくりとなる商品開発を目的にリニューアルした商品です。
3代目の新たなチャレンジ
「東京繁田園茶舗」を牽引しているのは3代目の繁田穣さん。
大手百貨店の社員だった繁田さんは2022年に先代である両親から店舗を継承。
それ以来、百貨店時代に培った豊富な経験を活かし、店舗運営を進めています。
「繁田園には本物のおいしいお茶があるという自信があります。自分の役目はそのお茶を未来に引き継ぎ、次の世代にも興味を持ってもらえるようにすることです」と繁田さん。
そう話す繁田さんは、自身が家業を継いでから様々な独自の取り組みを開始。その新たなチャレンジの中から3つご紹介します。
四季折々のお茶をお届け
まずは、一年を通じてお茶を定期購入できるサービス「季節のお茶便り」。
新茶が出回る春だけでなく、秋口にうまみが増す「熟成茶」など、四季を通じて様々なお茶を顧客に提案しています。お茶のイメージを表現した美しいパッケージイラストにもご注目ください。
わかりやすく生産現場を紹介
続いては、お茶の生産現場や歴史を分かりやすく発信することです。
店内に販売しているお茶の産地マップを掲示し、生産者についても紹介。
仕入れ先には必ず自ら足を運ぶという繁田さんが実際に産地で見聞きした情報はとても貴重。
ぜひ店頭でチェックしてみください。
海外市場へのチャレンジ
最後は海外市場に向けた日本茶の販売です。
「東京繁田園茶舗」は2024年7月にパリで開催される日本文化の総合博覧会「Japan Expo Paris 2024」に初出展します。
1900年のパリ万博出展から124年の時を経て、「日本茶のおいしさを世界に発信し、日本茶文化を次の世代へとつないでいく」という想いを掲げる、海外での新たな挑戦からも目が離せません。
学校帰りの学生から年配の方まで、幅広い年代の人々が通い続けている「東京繁田園茶舗」。
地域に親しまれながら、時代に合った形で進化を続ける同店をぜひ訪れてみてください。
取材・文=芦谷日菜乃
基本情報
店名 | 東京繁田園茶舗(とうきょうはんだえんちゃほ)荻窪店 |
電話番号 | 03-3392-0607 |
住所 | 東京都杉並区荻窪5-28-7 |
アクセス | JR荻窪駅南口・丸ノ内線荻窪駅より徒歩1分 |
営業時間 | 10:00~18:00 |
定休日 | 水 |
HP | https://handaen.official.ec/ |