日本茶カフェ「nana’s green tea(ナナズグリーンティー)」を運営する「株式会社七葉」は2023年10月1日にオリジナル急須「360KYUSU(サンロクマルキュウス)」を発売しました。
販売開始に先立ち9月20日に商品発表会が「nana’s green tea 自由が丘店」で開催され、日本茶生活も参加。「360KYUSU」の紹介と合わせてイベントの様子をレポートします。
抹茶をはじめとする日本茶を使用したドリンクやスイーツを提供しているカフェ「nana’s green tea」。「新しい日本のカタチ」をコンセプトに、日本の食文化・食材・茶の湯文化の魅力を提案しています。
2001年に1号店をオープンし、現在は国内73店舗、海外5ヵ国で8店舗を展開。2023年12月にはニューヨークに新店舗が誕生します。
国内外の各店では「現代の茶室」をテーマに、各店の土地の歴史や文化をとり入れ、全店舗で異なる空間デザインを採用しています。
そんな「nana’s green tea」では「日本茶を淹れる道具を革新することで茶葉から飲む人を増やしたい」と「360KYUSU」を開発。これまでにないユニークな急須を生み出しました。
360°どこからでも注げる急須
ここからは商品発表会で実物を触って感じた「360KYUSU」の魅力をご紹介します。
「360KYUSU」の本体部分はプラスチックより硬く、割れにくい素材であるトライタン製。シリコン製の蓋を本体に取り付けて使用します。
蓋に細かく刻まれたスリット(溝)が茶こしの役割を果たし、360°どんな角度からでも簡単にお茶を注ぐことができます。
本体の広いスペースで茶葉が対流し、お茶の成分が十分に抽出されます。
熱湯を注いだ直後に本体を触ってみましたが、熱伝導率が低い素材のおかげで熱くありません。
付属している湯飲みも本体と同じトライタン製。飲み口を薄くしているため、お茶の味わいがしっかりと感じられます。
使い終わったら蓋と本体はサッと水ですすぐだけで洗浄完了。
耐熱性が高いため食洗器で洗うこともでき、本体に茶渋が付きにくくなっています。
使用後は急須の中に湯飲みを収め、コンパクトに収納できるのも魅力。
このような手軽に使える道具があると、お茶を淹れる回数も増えそうです。
「nana’s green tea」ではこれまでティーバッグでお茶を提供していましたが、店舗でも「360KYUSU」を使用し、茶葉でお茶を提供していくとのこと。注目の「360KYUSU」は「nana’s green tea」の各店舗およびオンラインストアで4,800円(税込)で販売しています。
「360KYUSU」のお披露目イベント
商品発表会では「360KYUSU」の開発に携わった関係者によるトークセッションや「360KYUSU」の体験、抹茶のスイーツやドリンクの試食会などが行われました。
「株式会社七葉」の代表・朽網一人(くたみかずと)さんは「360KYUSU」の開発ストーリーを紹介。
茶葉からお茶を飲む機会の減少や生産現場における後継者不足といった茶業界が抱える課題の解決手段として「360KYUSU」の開発に至ったと話しました。
「誰もがもっとおいしく、もっと気軽にお茶を楽しんでもらいたい」、 「茶葉でお茶を楽しむことで生産者を応援したい」 という想いがこの急須に込められているそうです。
「360KYUSU」のプロダクトデザインを担当したのは「株式会社PRODUCT DESIGN CENTER」代表の鈴木啓太さん。焼き物の収集家でもあり、日常的に急須を使っているそうです。
「急須を使ってお茶を淹れると、茶こしに詰まった茶葉を洗うのがいつも大変で。まずはそこを解決しようと思いました。日本には昔からみんなでお茶を飲むという素晴らしい習慣があります。この急須をきっかけにみんなでお茶を飲むことがもっと身近になればと」とプロダクトに込めた想いを話しました。
開発のディレクションを行ったのは「株式会社エイトブランディングデザイン」代表の西澤明洋さん。
同社は「ブランディングデザインで日本を元気にする」というコンセプトのもと、企業のブランド開発、商品開発など幅広いジャンルでのデザイン活動を行い、「nana’s green tea」のブランディングを手掛けています。
イベントには「nana’s green tea」に煎茶を提供している「売茶中村」の中村淸孝さんもゲストとして登場。
「360KYUSUは急須の中の様子が見えるのが良いですね。急須の茶葉の開き具合を確認することは、お茶をおいしく淹れるために大切なことです。この急須でお茶を飲む人が増えるに違いないと思います」と話しました。
「株式会社七葉」の朽網さんによると同社では抹茶を点てる新たな道具も開発中で、こちらも画期的なデザインになる予定とのこと。こちらもどのような商品になるか目が離せません。
nana’s green tea公式サイト
https://www.nanasgreentea.com
取材・執筆=芦谷日菜乃